スーツを着た悪魔【完結】
幸せなエピローグ
深青が勝手に定めたまゆの毎月の誕生日会、12回目の誕生日の朝。
まゆが目を覚ますと、窓からキラキラと太陽が差し込んでいた。
窓の外から広がるのは、360度のパノラマ。深青の両親の持ち物らしい、超高層マンションのワンフロアだ。
昨晩深青に「あれがエンパイヤ・ステート・ビル」だと教えてもらったっけ……。
これは現実だと言うのに、まだ意識が追いつかない。
なんだか夢を見ているみたいだ。
寝ぼけまなこをこすりながら、まゆはベッドの中で軽く伸びをした。
そう、ここはニューヨーク。
勝手に時代の最先端、近代的な街だと思っていたけれど、実際ニューヨークはそれだけでなく、素晴らしい建築様式の建物がたくさんあるんだとか。
「深青……」
まゆは顔を右に動かし、彼女を抱いて眠る恋人の顔をジッと見つめる。