スーツを着た悪魔【完結】
それから彼を起こさないようゆっくりと半身を起こし、深青の長いまつげにかかる前髪を払う。と、その時、左手の上で、窓から差し込む太陽の強い光を反射する何かに気付いた。
「ん……?」
まゆはぼんやりとその手を持ち上げ、息をのむ。
左手の薬指に、指輪が輝いていた。
心臓がドキドキし始める。
いつ?
いや、いつとかじゃなくて、これって……。
「まゆ」
ハッとして深青を見下ろすと、彼はぱっちりと目を開けて、してやったりという風な表情をしている。
「Will you marry me?」
「っ……」
「俺にはお前しかいないよ。これから先も永遠に愛してる」
そして深青は、まゆの花のような笑顔を見て、満足げに微笑み返した。
20130405
「スーツを着た悪魔」完結