スーツを着た悪魔【完結】
「でも、なんだよ」
それでも戸惑うまゆを見て、かすかに苛立つ深青。
「いったい何が不満なんだ?」
もっと金が欲しいってことか?
そんなことを思いながら、頭の後ろで腕を組む深青。
「ふ、不満とかじゃなくて……!」
まゆは慌てたように首を振った。
「こんな風にあなたに恵んでもらうのは、イヤなんです……」
「は?」
声は確かに小さいけれど――
はっきりとまゆは口にしていた。
『恵まれるのはイヤだ』と。