スーツを着た悪魔【完結】
「レンタル植物って、銀行とか、大きな会社のなかとか、そういうところに置いてある観葉植物のことですよね?」
「そうそう。うちは観葉植物だけじゃなくて、生花もやってるんだけどね。オフィスにあうグリーンのコーディネートからメンテナンスまで全部うちでやるんだ。なかなか植物の面倒をみられる人がいないんだよね」
まゆに社内を案内してくれた総務課長は、見た感じとても人のよさそうなおじさんだった。
「へぇ……」
そういえばまゆが以前勤めていたオフィスにも、観葉植物は置いてあったけれど、すぐに枯れてしまった。
水をやりすぎたり、枯らしたり。植物を育てると言うのは案外難しいんだろう。
「じゃあ、澤田さんの席はここね」
「はい、ありがとうございます」
課長にぺこりと頭を下げ、真新しいデスクに腰を下ろす。