塔の中の魔女
青年は金髪碧眼といった、ユダではよく見かける色彩を持っていた。
しかし、
飾り物ではない使い込まれた剣を携え、
一介の使者と断定するには、金糸の縫い込まれた絹と銀に輝く鎧では、身なりが良すぎた。
王直属の騎士なのかもしれない。
――――まあ、わらわに会いに来るほどの者じゃ。ある程度の力がなければ結界にも入れはせぬしの……。
それなりの身分らしいと判断して、エカテリーナは久しぶりに見る人間に至極満足したが、
やや勝ち気そうな表情をした目の前の青年から放たれた一言に、
再び不機嫌に頬を膨らませることになった。
「なんだ、ちび。おまえ、ばあさんの孫かなんかか?」
麗しく整った見目の良さを損なわせるほどに、とにかく青年は口が悪かった。