塔の中の魔女





エカテリーナは暫し考え込んだ。

椅子の床につかない足をプラブラと揺らし、青年を見つめる。


そんなことをすれば、大国の怒りがユダに向くのではないのか?

なぜ魔法使いの復活などと青年が口にするのか、エカテリーナにはわからなかった。

わからないけれど、青年がただならぬ決意を持って告げたのだということは、強い眼差しでわかる。


戦争――?


ふと、エカテリーナは恐ろしい予感に襲われた。

彼は再び戦争を引き起こそうとしているのではないだろうか?

従順な態度を見せながら、大国の首を掻く術を模索しているのかもしれない。

多くの民が苦しんでいるとその口で告げながら、

彼はその民を死に追いやろうとしているのかもしれないのだ。


「だ、駄目じゃ!」


エカテリーナは首を横に振る。


「ゼルダンは魔女狩りと称して、王女を処刑し続けてきたのであろう?
魔法使いなぞ、復活させれば多くの命が消えゆくだけじゃ」


エカテリーナがそう告げると、青年は笑った。
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