塔の中の魔女
「ではそなたの姉のことはどうするのじゃ」
うーん、と青年が呻いた。
そして閃いたように顔をあげた。
「一緒に考えよう」
「…………」
エカテリーナは呆れた。
青年は先ほど自らを暗愚だといったが、その通りだと思った。
口の悪さ以上の欠点がここにはあった。
空っぽなのだ、頭が。
「そなたといると疲れる……。
わらわは眠い、くだらぬ話を続けるのであれば、もう帰れ」
エカテリーナが暖炉の前で瞼を閉じかけると、青年は慌てた。
「ちょっと待て!寝るな!
……ああ、ほら、眠気覚ましのコーヒー!」
カチャカチャと乱暴にカップを動かす音がする。
「それはそなたに淹れてやったものじゃ。
そなたが飲め、そして帰れ」
椅子の背にもたれ、肘置きに額を擦りつける。
だが、寝心地のよい場所を探すようにみじろいだエカテリーナの身体が、
突然ふわりと持ちあがった。