塔の中の魔女
「ロゼリン、起きよ。
わらわを塔から引っ張り出して結界まで打ち破り、こうして生かせたからには、
最後まで責任をとらぬか」
うーん、と呻くロゼリンの反応に、エカテリーナは笑んだ。
――――そうじゃ。今は知らずともよい。
ロゼリンがどのようにして呪いを打ち破ったのか。
なぜ、あの人と同じ顔で笑って見せたのか。
今はいい。
彼の側にいればそれはいずれ知ることができる。
だから今は――。
うっすらと、瞼から覗いた碧眼にエカテリーナは笑いかける。
「約束いたせ。
この五百年に起きた世の変化、それを教えること。
わらわの知らぬ、新たな世界を見せること。
それが、そなたとともに行く条件じゃ」
ロゼリンは頷いた。