塔の中の魔女
側近とはいえラッツェルは、ロゼリンが王となる前から仕えている。
信望もあつい年上の配下だ。
「……王宮は任せる」
ロゼリンの言葉に、ラッツェルは頷いた。
ロゼリンの行動力に達観さえしているようなラッツェルのその表情を見てから、
まっすぐ厩へ向かう。
ラッツェルは肩を竦めて兵舎へ足を向けた。
急ぎ、護衛隊を編成しないと痺れを切らせて飛び出していってしまうだろう。
ラッツェルは僻地へ向かう王を見送るため、簡単な編成隊を用意しにいく。
自分が武官であったなら、迷わずついていくだろうと思いながら。