塔の中の魔女
先ほどまで堪えていた、あふれる涙を隠すように顔を埋める。
そんなエカテリーナに、様々な思いを飲み込んだ父の声が落ちてきた。
「そなたの罪状が決まった。
……無期限の塔への幽閉に処すと」
「極刑ではないのですか?
あんな酷いことをしてしまったのに?」
エカテリーナが問うと、父はゆっくりと首を横に振る。
その表情はやはり影に塗り込められていて、見ることはできない。
「そなたは幼い。
罪を死で購うことは簡単だが、この世には償いというものがある。
生きて、犯した罪を反省して毎日を過ごす。
そんな生涯もあるのだよ」
「……わたしは生涯を償いで捧げるのですね」
エカテリーナは父の言葉を理解し、受け入れた。
「でも、メイジェフ家は?
わたしのせいで爵位の返上や取り潰しになりますか?」