夢の欠片
童顔な可愛らしい顔には似合わない豊満な体つきが、きっと男受けするのかもしれない。


ひなはそんな母に似ている自分が嫌いだった。


もっと清楚で可憐な女性になりたいと強く思う。


この体のせいで、あの男の……伊丹の理性も狂わせてるんだとしたら、胸なんかなくなればいいと思っていた。


「ひな?どうした?」


父にそう呼ばれてハッとする。


今日、来た理由はなぜ母と別れたのかを聞くためだった。


昔のことを知ることで、母がどんな思いで私を育ててきたのかが、少しでもわかればいいと思ったからだ。


「お父さん……あのね?

私が生まれてすぐに何で別れることになったの?」


ストレートに聞いてみると、父は一瞬驚いたような顔をしたものの、私の真剣な顔を見て観念したのか、きちんと説明してくれた。


「お母さんとお父さんは、これでも恋愛結婚だったんだよ

実はお父さんの方がお母さんを好きになって、猛アタックしたんだ」


そう言って父は照れたように笑う。


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