夢の欠片
キーンコーンカーンコーン……
始業のベルが鳴る。
それを聞いても特に急ぐことなく、私はゆっくりと学校の門をくぐった。
久々に制服に袖を通したせいか、入学式に初めて着たときみたいに、ちょっぴり恥ずかしい。
ピンクの頭を風になびかせながら、短いスカートを翻して校舎に向かった。
上履きなんかとっくにないから、その辺のスリッパに履き替える。
ズザッズザッとスリッパを引きずりながら、廊下を歩いて自分の教室に向かった。
2年5組だったっけ……?
2年になってクラス替えをしてから数えるくらいしか来ていない。
うろ覚えのクラスをようやく探しだして、後ろの入口からガラッとドアを開けて教室に入った。
まだホームルームが始まったばかりの教室に静寂が訪れる。
そして一斉に生徒達が振り返って私を見た。
私はそれらを全部無視して、空いてる机がないか見渡す。
あった……あそこかな?
空いた机を見つけて、そこに向かって歩き出す。
クラス中が私の動きを目で追うのがわかった。