夢の欠片
皮肉なもんだな？


だって中田の父と復縁したくなくて、健に嘘までついてもらったのに、結局……健と別れて父と復縁してるんだから……


そのあとのことは私も少しだけ覚えてる。


本当のお父さんだよって紹介されて一緒に住み始めたけど、私は健の面影が忘れられなくて、なかなか父になつかなかった。


だけどそんな私に父は優しく接してくれて、だんだん打ち解けていったのを覚えてる。


だけど結局、父はまた出ていった。


二度目の離婚は何が原因だったんだろう？


「それからの三年近くはとても幸せだった。

ひなとは生まれた時でさえ会えなくて、ようやく会えた時にはもう６歳になってた。

急に本当のお父さんて言われても受け入れてもらえないことくらい覚悟してたから、ひながなかなかなつかなくても全然苦にならなかったよ。

そのうちひながお父さんて呼んでくれるようになった時はすごく嬉しかったんだ。

出来ることならこのままずっとひなと暮らせたらって思ってた。

だけど……」


< 115 / 289 >
表紙・目次

この作品をシェア

pagetop