夢の欠片
「ひな……

お前がお父さんを訪ねて来た時、お母さんと何かあったのかなって思ったんだ。

お父さんに話せることならなんでも話そうって……

まだ中学生のひなには、こんな大人の事情なんて難しかったかもしれないけど、お父さんは今のひななら理解できると思ったから、全部話した

ひとつだけ最後に言っておきたいのは、お母さんもお父さんも、ひなを愛しているよ?

それは間違いない事実だ。

お母さんに関しては、わかりにくいところもあるかもしれない

でもどんな行動を取ってたとしても、お母さんは最後にはお前を絶対に離さない。

だからひな……

お母さんにもし不満があるんなら、きちんと自分の気持ちを伝えてごらん?

二人とも不器用だから、すれ違うこともあるかもしれないけど、黙ってたら伝わらないことはたくさんある。

お父さんは愛未に出会って、そのことを教えられた。

彼女は何でも疑問に思ったことは聞いてくるし、答えてくれる。

それがどんなに安心出来るのかってことを身をもって実感出来たんだ。

相手を思うあまり何も聞かないとか、反抗して気づいてほしいとか、そういう回りくどいことはやめて、素直に話し合うことが、仲直りの近道だよ?」



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