夢の欠片
その瞬間、周りの生徒がビクッとしたように体を動かすのが見えた。


グルッと見回すと、誰も私と目を合わせようとはせずに、顔を背けている。


そんなに怖いのかよ……


ははっ……散々いじめてたくせに……


そう思うと急におかしくなる。


大人しくしていた時は攻撃してくるくせに、派手な格好になった途端、手のひらを返したように誰一人近寄らなくなった。


みんなが私を遠巻きに見る。


それならそれで良かった。


誰にも関わられたくない。


ガンッと大きな音を立てて椅子を蹴ると、そのまま振り向きもせずに教室を出た。


シーンとしていた教室が、私が出ていった瞬間にざわつくのが聞こえた。


私は気にすることなく、またスリッパを引きずりながら廊下を歩いて職員室に向かった。


廊下を歩いて階段を降りると、休み時間だからかたくさんの生徒達があちらこちらで徒党を組んでおしゃべりをしている。


こういうちまちまとした女子特有の仲良しごっこは嫌いだ。


わざとスリッパの音を大きくさせて、そいつらを威嚇する。


< 13 / 289 >

この作品をシェア

pagetop