夢の欠片
「でも勘違いしないで?

浩一さんは泊まるつもりなんかなくて、私が落ち着いたのを見届けたら帰るつもりだったの

でもいろいろ話してるうちに寝てしまって……

気づいたら朝だった

浩一さんは目が覚めると携帯をすぐ確認して、真っ青な顔をして慌てて帰っていったわ

……その後のことは、お父さんが話した通りよ?

奥さんは出ていって、浩一さんは楽しみにしてた赤ちゃんを抱くことが出来なかった……」


何も……なかった?


何もなかったのにお母さんは確かめもせずに出て行ったって言うの?


事情が分かれば納得したはずなのに……


まさか……


お父さん弁解しなかったの?


私の疑問を察したのか、愛未さんが申し訳なさそうに口を開いた。


「なんでお父さんは事実を伝えなかったんだろうって思ってるわよね?

確かにそう……

浩一さんは事実を話したら、私のことも話さなきゃならないと思ったのね……

だから言い訳をしなかった……

私を庇ってくれたんだと思う

だけど、私がそれを知ったのは……

もうあなたが生まれてずいぶん経ってしまった時だった」



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