夢の欠片
翔吾に電話しなくちゃ……


改札を抜けて階段を降りると、手頃なベンチが目に入る。


そのベンチに腰かけると、携帯を取り出して翔吾の番号を呼び出した。


プルルルル……プルルルル……カチャ


さっきよりも早く電話に出た翔吾は、勢いよく私を呼ぶ。


「ひな?駅に着いたのか?
すぐ行くから待ってろよ!」


言いたいことだけ言って、さっさと電話を切られてしまったことに苦笑する。


私からじゃなかったら、どうするつもりなんだろう……


自分が一言も発しないまま電話が切れたことに、少しだけ呆れた。


翔吾のアパートは駅からそう遠くない場所にあった。


たぶんあの様子だと、自転車で来るに違いない。


少しの間ベンチの背もたれに寄りかかりながら、目を閉じて翔吾が来るのを待った。


「ねぇねぇ?一人?俺達と遊ばない?」


唐突に声をかけられて、私はパチッと目を開けた。


いつの間にこんなに近くに来たのか、目の前には二人組の少年が立っている。


やんちゃな風貌に、幼さの残る笑顔が、自分とあまり歳が変わらない印象を持たせた。


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