夢の欠片
「いってぇな!何すんだよ!テメェ!!」


そう言いながら、少年たちはすごい勢いで振り向いた。


その途端、彼らはギョッとしたように翔吾を見る。


「しょっ……翔吾さん!」


――えっ!?


もしかして知り合い……?


私はこの二人がこっぴどく殴られたりするんじゃないかと思っていただけに、少しだけホッとした。


だけど、翔吾は予想に反して今にも飛びかからん勢いで、彼らを睨み付けている。


「テメェら……何してんだよ」


そして怒鳴るわけでもなく、低く静かな声で彼らに問いかけた。


それが逆にものすごく怒ってるということを醸し出す。


「あっ…あの、翔吾?

私は大丈夫だから、もう帰ろう?」


この空気を何とか一変させたくてそう言うと、翔吾は彼らから私にゆっくり視線を移した。


それでも翔吾の機嫌は全く直ることなく、今まで私に見せたこともないような顔をする。


「いいわけねぇだろ?

お前、あのまま俺が来なかったらどうなってたかわかってんの?」



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