夢の欠片
二人はしょんぼりしながら翔吾のお説教を聞いていた。


ちゃんと納得したのかどうかは定かじゃないけれど、今まで何とも思わずにやってきたことを、きちんと考えてから行動に移せるようになればいいと思う。


きっと翔吾の狙いはそこだから……


美樹ちゃんみたいな子をもう二度と出さないためには、このくらいの時期からきちんとそれはいけないことなんだって思わせなきゃいけない。


もしまた私みたいな子に声をかけようとした時、少しでも翔吾の言葉が頭の隅に残っていれば、犯罪を未然に防げるかもしれない。


そんな思いがあるなんて、この二人は思いもしないだろうけど……


「もしまた同じようなとこ見つけたら、ただじゃおかないからな」


翔吾が捨て台詞のように、最後にまた彼らを威嚇する。


「すいませんでした!」
「もう二度としません!」


それぞれが大声で翔吾にそう言いながら、深々と頭を下げた。


「わかったんなら行っていいぞ

今度はガッカリさせんなよ?」


さっきまでの顔とは全く違って、今度は優しい顔で二人に声をかける。


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