夢の欠片
「来てくれたことは、先生はとても嬉しいし、喜ばしいことだと思ってる。

でも来るからにはその髪の毛と化粧を直してくれないと教室には入れてあげられないんだ」


ちっ、めんどくさっ……


結局は来んなってことかよ。


どうせ私なんか厄介者なんだろ?


そう口を開きかけた時、横に立っていた担任が急に私の肩に手を置いて、哀れんだ声を出し始めた。


「藤森さんが一年生の時にいじめを受けていたことは知ってるわ。

でもだからってこんな風になっちゃったら、自分が損するだけよ?

あなたの気持ちはよくわかるけど、お母さんだってとっても心配してると思うわよ?」


……はぁ?


急にしゃしゃってきて何言ってんだ?


このクソババア!


何があなたの気持ちはわかるだ。


何がお母さんも心配してるだ。


なんにも知らないくせに、勝手なこと言ってんじゃねぇよ!


あまりの怒りで頭に血がのぼり呼吸が荒くなる。


前の担任も女だった。


心配そうなふりをして、私がいじめられているのをクラス全員に公表した。


そして言ったんだ。


いじめはよくないって……


藤森さんにお父さんがいないのは彼女のせいじゃないって……


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