夢の欠片
パパがお休みと言われて、急に緊張してくる。


さっき誘われた時点で、勝手に家には誰もいないと思っていたから。


私はお休み中のお父さんがいるのにお邪魔していいものなのかが気になって、前を歩く花純美ちゃんのお母さんに、そっと聞いてみた。


「あの……、お父さんがお休み中なのに、私なんかお邪魔じゃないですか？」


彼女は笑顔で振り向きながら、大丈夫というように頷いた。


「どうせ暇なんだからいいのよ？

こんな可愛いお嬢さんが遊びに来たら、逆に喜んじゃうんじゃないかな？」


フフフッと笑いながら、彼女は玄関の鍵を開けて中に入った。


「ただいまぁ」


彼女がそう言うと、奥から男の人の声がする。


「あれ？ずいぶん早かったんだな？」


すると花純美ちゃんが、パッと私の手を離して、部屋の中に駆け出していった。


「パパー、花純美、転んで血が出たぁ！」


「えぇっ！大丈夫なのか？」


「うん！お姉ちゃんが助けてくれてね？ハンカチを貸してくれたの」


玄関で固まったまま入れないでいる私を置き去りにして父と娘の会話が進んでいく。


お母さんが固まっている私に気づいて、中に入るように促してくれた。



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