夢の欠片
翔吾の顔が辛そうに歪む。


じっと私を見つめながら小さく息を吐くと、そっと目を伏せて静かに話し始めた。


「俺と一緒にいることで、ひなが影響受けてバカな道に走るんじゃないかって心配なんだよ……

ひなは女の子なんだし、こっちの世界にいつまでもいたら、美樹みたいな目に合うこともあるかもしれない……

俺が中学行かなかったからって、真似して同じようなことしてたら、やりたいこと見つけた時にきっと後悔する

ひなには勉強して高校行って普通におしゃれしたり、遊んだりて、もっともっと楽しんでもらいたいんだ

急に大人になんか、ならなくていいんだから……」


悲しそうにボソリとそう言った翔吾からは、本気で私を心配してくれていることが伝わってくる。


だけど、今までのことはなかったことにして、私だけがそんな浮わついたことをしてもいいんだろうか?


そんな思いが頭をかすめた。


翔吾の気持ちは有り難いけれど、自分があのキャピキャピした中に入るのかと思うと虫酸が走る。


そんな思いを私は仕方なく翔吾に伝える。


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