夢の欠片
さてと……


今日は健の家に招待されていた。


お昼に間に合うように洗濯や掃除を終わらせなくちゃならない。


あの日……


健を探しに行ったマンションの下で、女の子が転んだのを助けたのがきっかけに、思いがけず健を見つけることができた。


最初は私のことわからなかったみたいだけど、名前を聞いて思い出してくれただけで嬉しかった。


そして健はそっと私を抱き締めて、8年振りの再会をとても喜んでくれたのだ。


それは本当に嬉しい出来事だったけれど、同時に奥さんと子供に悪いような気がして、私はそのまま動けないでいた。


「ひな……ちゃん?」と少し不安気に私を見る奥さんの視線や、「パパ、お姉ちゃんのこと知ってるの?」という花純美ちゃんの声が、私を居たたまれなくさせる。


ようやく健が私から体を離して、懐かしそうな顔で微笑んだ。


「元気だったか?ひな……」


私をひなと呼ぶ懐かしい声が、8年前のあの頃にタイムスリップしたような気持ちにさせる。


「健……」


そう名前を呼ぶだけで涙が出そうになった。


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