夢の欠片
さすがに一緒に暮らしてましたとは言えないだろう。


この優しいパパを、今は花純美ちゃんが一人で独占してるのかと思うと、嫉妬のような気持ちになるのがわかった。


きっと何の疑いもなく、両親の愛を一身に受けて、スクスクと育ってきたに違いない……


その時、玄関のドアが開く音が、リビングいっぱいに広がった。


「ただいまぁ!」


元気よくリビングの扉を開けたのは、真っ黒に日焼けしたユニフォーム姿の男の子だった。


彼は私がソファーに座っているのを見つけると、ピョコンと恥ずかしそうにお辞儀をする。


「こんにちは!」


何のためらいもなく挨拶するところは、きちんとしつけられた証拠だろう。


私も少しだけ照れながら「こんにちは」と挨拶を返した。


誰なんだろうというようにキョトンとした表情をしたまま、彼は視線を健に送る。


健はさっき花純美ちゃんに説明したのと同じように彼に伝えた。


それから今度は私の方を見ると、彼のことを紹介してくれる。


「ひな、こいつは健太

うちの長男で、小学五年生なんだ

仲良くしてやってな?」


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