夢の欠片
「ひなはそれでも俺に会いに来てくれたんだね?

新しい家族がいるって聞いて、やっぱり来づらかったんじゃないのか?」


「お父さんから健が復縁したって聞いた時、私は良かったって思ったんだ……

だって健が私たち母娘のせいで離婚してたなんて知らなかったし、私たちが現れなかったら健はさとみさんとそのまま仲良く暮らしてたかもしれないでしょ?

だから……私たちと別れて健が一人で寂しく暮らしてるより、元通りの夫婦になって幸せになってくれてる方が、私は嬉しかったんだ……」


健とさとみさんの顔を見比べながら、にっこり笑ってそう話すと、二人とも複雑な顔をして私を見た。


「中田さん……

俺が離婚してひなたちと一緒になったこと話したんだ……」


「うん、たぶんお父さんから見た当時の状況を話してくれたから、健側から見た話とは少し違うのかもしれないけど……」


そう言うと、それまで黙ってじっと話を聞いていたさとみさんが、思いきったようにゆっくりと口を開く。


「ひなちゃんがどんな風に話を聞いたのかわからないけど、あの時は私が逃げ出したのよ?

だからひなちゃんが負い目を感じることないからね?」


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