夢の欠片
私の中で健はヒーローだった。


私の中のいろんな初めても、健がたくさん教えてくれた。


動物園も水族館も、公園で虫を採ったり、遊園地だって健が全部初めて私を連れていってくれた。


そんな楽しい時期を与えてくれただけで、私は健に感謝しなきゃいけないし、少しの間……健を貸してくれたさとみさんにも感謝したい。


「謝らないでください!
私は健と過ごせた3年間を宝物みたいに思ってるんです

すごく可愛がってもらったし愛してもらったって思うから……

健にはすごく感謝してるし、逆に言えばさとみさんが母に健を託してくれたから、私はかけがえのない時間をもらえることが出来たんだなって、今改めて思いました」


私はもう謝るよりもお礼が言いたかった。


謝ることで健やさとみさんが辛い顔をするくらいなら、感謝の気持ちを伝えたいと思う。


二人は恐縮しながらも、目に涙を溜めて私の言葉を聞いていた。


今度は素直に私の気持ちが伝わっただろうか?


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