夢の欠片
さとみさんは子供が出来なくて、ずっと辛い思いをしてたのかもしれない。


それなのに突然現れた同級生の元カノが、子供を盾に健を縛りつけたんだとしたら、さとみさんの悲しみはどれほどだったんだろう?


健が楽しそうに日曜の度に出掛けていくのを見送りながら、どれだけ傷ついたんだろう?


母はこんなに周りの人を悲しませていたことを、ちゃんと理解できてるんだろうか?


「でもね?だからこそ強くなろうって思ったの

ひなちゃんの前でこんなこと言うの申し訳ないんだけど、私はあやさんみたいにはならないって、その時誓った……

一人で立派に育ててみせるんだ!って意地張ってた

だけどやっぱり一人でなんて無理なのよ……

私には周りにたくさん助けてくれる友達がいて、正直……健がいなくても全然寂しくないくらい一緒に健太を育ててくれたの

だからね?ひなちゃん……

あやさんにはそういう人がいなかったのかもしれない……

だから健に固執したのかなって、今なら少しだけあやさんの気持ちが分かる気がしてるんだ」


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