夢の欠片
翔吾の姿を寝転びながら見るなんて、これが最後なんだろうなと思う。


なんとなくしんみりしながら翔吾の姿を目に焼き付けておこうと思った。


もう会えなくなるわけじゃないけれど、一緒に生活するなんてことは、もうきっとないだろう。


そう思いながら、私は翔吾の姿をゆっくりと目で追った。


しばらくすると出掛ける用意を終わらせた翔吾が、寝ている私の近くまで来てそっと囁く。


「じゃあ行ってくるから
いい子で待ってるんだぞ?」


そう言ってまた私の髪を優しく撫でてくれた。


私は翔吾に飼われてる猫のような気分になって、とても心地よかった。


目を瞑ってされるがままになっていると、翔吾はそっと私の髪から手を離す。


それからもう一度「じゃあな」と言うと、玄関の方に歩いて行った。


私は瞑っていた目をそっと開けて、翔吾の後ろ姿を見送る。


バタンとドアが閉まって翔吾は出て行った。


はぁ……


もう翔吾を見送ること出来ないんだな……


そう思いながらゆっくりと体を起こす。



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