夢の欠片
「翔吾!もう一皿これ食べてもいい?」
「いいけどさ……お前、よく食うなぁ?
すいませ~ん!カルビ一人前追加でお願いします!」
朝、約束した通り、仕事から帰ると私のリクエストに答えて、翔吾は焼肉を食べにつれてきてくれていた。
私のあまりの食べっぷりに目を白黒させながら、それでも追加でお肉を注文してくれる。
最後だからってしんみりしたくなくて、私はいつもよりもすごくお喋りになっていた。
翔吾はそんな私を見透かしたように、ニヤニヤ話を聞きながらを黙々と箸を動かしている。
それからビールをゆっくり飲み干すと、急に思い出したように口を開いた。
「ひな、部屋掃除してくれたんだな?
洗濯もありがとな?」
「ううん、私に出来ることなんてそのくらいだし、夏休みの間私を置いてくれたお礼だよ?」
翔吾はさっきよりも優しい顔をして私を見る。
「いや……でもなんだかんだ言いながら、ひなと暮らせて楽しかったよ
なんか妹を養ってる気分になって、前よりもっと仕事がんばろ~って思えたしな?
家族を守る父親ってこんな気分なのかなって思った」