夢の欠片
私はなにもしていないのに……


家庭環境のせいで、いじめられることになるなんて……


初めは庇ってくれていた友人たちも、一人消え……二人消え……とうとう私はひとりぼっちになった。


母のせいでこうなったのに、母は私の話を聞くどころか、次に頼るべく相手を探して夜な夜な出かけていく。


だんだん私は、自分はこの世にいなくてもいい存在なんじゃないか?


母も私がいなければ、もっと幸せになれるんじゃないか?


そんな風に思うようになった。


夜、一人きりで食べる食事にはすっかり慣れたけど……


学校で体操着や上履きがなくなったりした日は、一人の夕飯が妙に寂しく悲しく感じた。


なぜ、私だけがこんな目に会うんだろう?


この頃、私は自分のことしか考えてなかった。


死んでしまおうか?


ふっとそんな思いが頭をよぎる。


机からカッターを取り出し、手首にそっと当ててみた。


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