夢の欠片
「藤森、遅くなって悪かったな?」


ガラッとドアが開いて、担任が教室に入ってくる。


今日は三年になって初めての個人面談だった。


職員会議のため、教室で待つように言われていたのだ。


「いえ、大丈夫です……」


窓際の席から教壇の近くにある面談用に並べかえられた机の方へと移動する。


席につくと担任も向かい側の席に座って、いろんな資料をバサバサとめくりはじめた。


その様子を眺めながら、これから聞かれるであろう進路のことを考える。


二年の夏休みが終わってからというもの、私は必死に勉強してきた。


その成果もあって、もともとそんなに成績の悪い方ではなかった私は、グングン点数が上がってきている。


今回の面談では、一学期のテストの結果を受けて、評価を見ながら進路について話し合うことなっていた。


「藤森の成績は……と、あったあった!

どれどれ?おぉ、お前頑張ったなぁ?」


さっきからバサバサとめくっていたのは、私の資料を探していたらしい。


< 221 / 289 >

この作品をシェア

pagetop