夢の欠片
ようやく見つけ出した私の通知表はすっかりシワシワになっていて、先生はバツが悪そうにそれを手のひらで伸ばしている。


それを見て吹き出してしまうと、先生はビックリしたように私の顔を見た。


「お前もそうやって笑ってるとやっぱり中学生なんだなぁ

いつもは大人っぽく見えてたから何か意外」


そう言ってニカッと笑う担任の方こそ、40歳には見えないけど……と思う。


「私だってまだ14歳ですから」


少し照れたようにそう言うと、「それもそうだな?」と笑いながら通知表を開いた。


「藤森は国語と社会が得意なんだな?

今回、両方とも4がついてるぞ?

おっ、意外と家庭科とかも出来るんだな?

苦手は数学と理科かぁ……

女子はどうしても理数系は弱いからなぁ」


先生は成績を見ながら勝手にブツブツと話を進めていく。


私は早く成績を自分の目で見てみたくて、先生の手元を覗きこんだ。


「おっ?そうか、藤森も見たいよな?

ごめんごめん、ほら」


私が覗きこんだことで、ようやくそう気付いた先生は、通知表をこちらに差し出す。


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