夢の欠片
ただ謝って叫んで、自分は悪くないのに、何でひなはこうなっちゃったの?


そんなつもりじゃないのに何でひなは分かってくれないの?


そう思ってるのが分かるくらい、私を責めながら謝ってたあの頃とは違う声で……


心の底から申し訳ないと思ってるんだということが、しっかり伝わってきた。


母は初めて、私がこんなにも苦しんでいたことを知ったんだと思った。


女の顔から母親の顔にようやく戻った瞬間だったと思う。


泣いて謝るレベルのものじゃないことが、母にもしっかり伝わったみたいだった。


「ほんとに……今までひなを苦しめてしまってごめんなさい……

許してもらおうとは思わないけど、これからはお母さん……しっかりするから……

ひなのためになんて言うのもおこがましいけど……

それでも言わせて?

ひなのためにお母さん……
もうだらしないことはしないって誓うから……

だから……どこにもいかないで……

これからお母さんに償わせて?」



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