夢の欠片
「そうなんだぁ……

でもさ、ひなはもう知り合ってるわけでしょ?

私はまだ見てるだけだもん

声も聞いたことないし……」


萌ちゃんの様子から、一目惚れなんだってことがわかる。


「きっと現場が終わればいなくなっちゃうんだろうから、話しかけるなら今だよね?」


「そうなの!

だからね?ひなに一緒に来てもらいたかったんだ!

一人で話しかけるのは勇気がいるでしょ?」


恋する気持ちはよくわかる。


私も翔吾のこと思うだけでドキドキするから。


会いたい思いは募っていたけど、日々の忙しさと、まだ自分が翔吾に女として認めてもらえるかどうか自信がなかった。


もっともっと色っぽくなってびっくりさせたい。


萌ちゃんと私は対称的だけど、クラスの男子からは二人ともそこそこ人気があると自覚してる。


入学してから何度も告白されてるし、他の女子に比べて私たちは少し大人びているからかもしれない。


だけど、翔吾からすればまだまだ子供だってこともわかってる。


「わかった、付き合うよ

萌ちゃんの好きな人がどんな人なのか興味あるしね?」


エヘヘっと笑いながら萌ちゃんの頬っぺたをツンツンすると、彼女は嬉しそうに抱きついてきた。


「ほんと?やった!

ひな、大好き!」


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