夢の欠片
「ひなならもう充分にいい女だよ?

そろそろ会ってみてもいいんじゃない?」


「そうかなぁ……まだ自信ないよ……

彼は三つも年上だし、私なんかまだまだ子供だって思うかもしれないもん」


「ひなは可愛いよ?

小さくて華奢なのに、出るとこ出てるしさ

羨ましいくらいだよ

もっと自信持って!」


そう言われて昔の母を思い出した。


やっぱり似ているのかもしれない……


一度はそんな母を嫌悪して、それから自分が母に似ていることも嫌だった。


翔吾に女として見られたいと思う反面、女に見られることを気持ち悪いと思っていたあの頃……


私はそれを克服できたんだろうか?


「私は萌ちゃんみたくスラッとしてる方が羨ましいよ?

胸なんて邪魔なだけだもん」


「うわぁ、それあたしに言っちゃう?

万年Aカップの悲しい私の貧相な胸を前に……

ひな、ひど~い」


プウッと頬を膨らませながら、自分の胸を見てガックリ項垂れる。


「だって電車でチカンとかにも合うし……

変なおじさんとかも、おもいっきり胸に視線があるのわかって気持ち悪いよ?」


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