夢の欠片
――翔吾!?


そこにはいつもの白いニッカポッカで、一生懸命仕事をしている翔吾がいた。


まさか……萌ちゃんの好きな人って……


――嘘でしょ?


せっかく仲良くなった初めての友達だったのに……


なんでよりによって翔吾なんだろう。


どうしていいかわからなくて、私は呆然と翔吾の姿を見つめていた。


「ひな、あの人だよ?

カッコいいでしょ?」


追い討ちをかけるように、萌ちゃんが嬉しそうに私の肩を叩く。


「う……うん」


私はそう返事をするのが精一杯だった。


萌ちゃんは私の反応に首をかしげながら、どうしたの?という顔をしてる。


まだ頭の中で整理がつかなかった。


私の好きな人なんだと言ってしまえば楽だけど、同時に萌ちゃんの傷付いた顔が浮かぶ。


動悸が激しくなって、目が泳いでいたその時だった。


「ひ……な?」


頭の上から私を呼ぶ懐かしい声した。


今は呼んでほしくなかった。


すごく会いたかったのに、翔吾に会えることを夢見てたのに、私は顔を上げることも返事することも出来ないでいた。


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