夢の欠片
「翔吾のバカ!

自分だってやること変わってないじゃん!」


精一杯強がって、まだ赤い顔を隠しながらそう叫ぶ。


「あははっ、可愛いなぁ、ひなは……

あの頃のまんまで、ついからかいたくなる……」


そう言うと、またさっきみたいな愛しいものを見るような目で見つめられて、ドキッとした。


「さてと、じゃあそろそろメシ食いに行くか?

あっ、その前にひなはお袋さんに電話しろよ?

俺、その間ちょっとシャワー浴びて着替えてくっから」


そう言って立ち上がった翔吾は、シャワーを浴びに浴室へと向かう。


私はお母さんに電話をするために、慌てて鞄から携帯を取り出した。


翔吾の切り替えの早さに、まったくついていけない。


さっきまで甘い雰囲気を醸し出してたくせに、急にお兄ちゃんの顔になるんだから……


お母さんは二つ返事で許してくれたけど、今日中には帰ってくるようにと念を押された。


大丈夫だからと何度も言って母を安心させると、ようやく電話を切ってくれた。


最近、母は以前よりも心配性になっているような気がする。


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