夢の欠片
次の日は雨だった。
萌ちゃんの涙が降ってくるような気がして、私はますます気持ちが落ち込んでくる。
重い足取りで教室に入ると、まだ萌ちゃんは来ていなかった。
少しだけホッとしながら自分の席につく。
窓際の席から外を見ると、しとしとと雨が降り続いていた。
校庭では色とりどりの傘が移動していて、鬱々とした薄暗さを華やかに見せていた。
ふと見覚えのあるブルーに白の水玉が入った傘が目に飛び込んでくる。
――萌ちゃんだ!
ドクンと心臓が脈打ったように高鳴った。
どうしよう……
昨日は話し合えば大丈夫なんて思ってたけど、やっぱり怖い……
私は中学の頃のことを思い出していた。
いじめられてたあの頃……
何がきっかけでいじめられるのかなんてわからない。
あの時も仲が良かった友達が私の元から去っていった。
もし……
萌ちゃんがそんな風になってしまったら、私は耐えられるんだろうか?
萌ちゃんに限ってそんなことはないと思いながらも、人がそんなに強くないことを私は身をもって知っている。