夢の欠片
「大丈夫だって!

話聞いてても翔吾さんにとってひなは特別な感じするもん

逆によく今までそうならなかったよねぇ?

それにさ、ひながもしも振られたら、私にもチャンスがあるってことだしゃん」


そんな冗談が言えるくらいにまで、翔吾を吹っ切れたのには理由がある。


「何言ってんだか

宏太先輩に言っちゃおっかなぁ」


「えっ!やだやだぁ

やめてやめて?」


慌てて必死にすがってくる萌ちゃんが可笑しくてプフッと吹き出した。


「嘘だよぉ、萌ちゃんが宏太先輩ラブなのはわかってますからぁ」


笑いながらそう言うと、萌ちゃんは私を軽く睨んでくる。


「ひなってば、最近性格悪い……」


そんなこと言ってても、恥ずかしそうに頬を染めながら宏太先輩を思う萌ちゃんはすごく可愛い。


二年になってすぐ、萌ちゃんは、サッカー部の先輩から告白をされていた。


どうしようって言いながら、返事を少し待ってもらっていたけど、そのうち萌ちゃんの視線がいつも宏太先輩を追いかけているのに気がついた。


私がそれを指摘すると、萌ちゃんは最初は否定していたけど、だんだん自分もそのことに気づき始めた。


< 257 / 289 >

この作品をシェア

pagetop