夢の欠片
それからしばらく悩んでいたけれど、もう一度先輩から呼び出された時、萌ちゃんはようやく首を縦に振ったのだ。


宏太先輩は、割と人気があって、見た目も背が高くて萌ちゃんと並んでも見劣りしない。


すごくお似合いのカップルだと私は思っていた。


最近は部活が終わるのを待っている萌ちゃんに付き合って、放課後に教室に残ることが多くなっている。


一緒に帰るのはさすがに遠慮しているけど、放課後のその時間は私にとって大事なものになっていた。


話題はいつも翔吾のことで、萌ちゃんはいつも私に早く告白しろってせっついてくる。


翔吾の誕生日が7月14日だと知った時、萌ちゃんはチャンスだよと言った。

プレゼントをあげてその時に自分の気持ちを伝えるチャンスだって……


お金がないって話したら、萌ちゃんはファーストフードのバイトを探してきてくれて、一緒にやろうって言ってくれた。


慣れないバイトを頑張りながら、二回目の給料をもらってようやく目標金額に達することができた。


プレゼントは何にしようか萌ちゃんと一緒に一生懸命考えて、ようやく決まったのが財布だった。


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