夢の欠片



母も家も学校も何もかもが嫌になって、初めて家を飛び出したのは、確か中1の終わりごろ。


ふらふらと明るい場所を目指して歩いていると、知らない男の二人組に声をかけられた。


怖くなって逃げようとすると、二人組の一人に腕を掴まれてどこかに連れていかれそうになる。


あまりの恐怖に声も出せずに固まっていると、男は掴んだ腕にもっと力を入れて無理矢理引きずろうとした。


なんとか足を踏ん張りながら、その腕を振り払おうとがんばるけど、男の力には全くと言っていいほど歯が立たない。


もうだめだ!と、恐怖で涙が出そうになった時、後ろから男の人の苛立ったような声がした。


「おい!悪いけどその子離してくんない?」


私の腕を掴んでいた男は少しだけ力を弱めて、今まで集中していた私から、声のする主の方に注意を反らす。


私ももしかしたら誰かが助けてくれるのかもしれないと、すがるような思いで声の方を振り返った。

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