夢の欠片
ふと目が覚めると、心配そうな顔の翔吾が私を覗きこんでいた。
「ひな?目が覚めたか
良かったぁ、まじ焦った」
ホッとしたように息をついた翔吾は、頭を抱えて項垂れた。
私はといえば、今の状況を把握するのに、少し時間がかかっていた。
私、何で翔吾の家で寝てるんだっけ……?
確か、誕生日のお祝いするためにここまで来て……
部屋で翔吾が寝てて……
それで翔吾が急に私を抱き締めて……
それから……
キ、キスされたんだ!
思い出した!!
急に顔が熱くなるのを感じて、慌てて翔吾から顔を背けた。
あんなに激しくキスされて、私……倒れちゃったんだっけ。
うわっ、恥ずかしすぎる。
わざわざ下着まで買っといて、何やってんの?私!
そんな私の様子に気づいたのか、翔吾は優しく私の髪を撫でる。
「ハハッ、ひな思い出しちゃったのか?
耳まで真っ赤っかだな……」
そう言って髪を撫でていた指が今度はそっと耳に触れる。
私はピクンと反応しながら、ゾクゾクするなんともいえない感覚に戸惑っていた。
翔吾が触れた場所が熱をもって、体の奥が疼くような変な気持ちになる。