夢の欠片
「これ……良かったら使って?」


そう言って翔吾の目の前に差し出されたのは、私名義の通帳と印鑑だった。


「これって……私名義……?」


翔吾が通帳を開いて確認すると、そこには500万という数字が印字されている。


「お母さん、これ……」


「ひなが生まれた時からコツコツ貯めてたの

お嫁に行くときに渡そうと思ってたから、ちょうど今だと思って」


嘘……


お母さんは私が邪魔だったんじゃないの?


私のことなんか興味ないんだと思ってたのに……


呆然としながら通帳から目が離せなくなっていると、翔吾が通帳と印鑑をスッと手にとって私に渡してくれた。


「お母さんの気持ち……
有り難く受け取ろう?

ひな……良かったな?」


そう言われた瞬間、涙がまた溢れだしてくる。


あんなにひどいこと言ったり、散々心配かけたのに、お母さんは私のこと大事に思ってくれてたんだ……


お母さんの気持ちなんか何にも考えずに、私は勝手に自分が愛されてないと思い込んでた。



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