夢の欠片
「お母さん……ウッ…ヒック
ごめんなさい…ウッ……

今までたくさん迷惑かけて……ヒック……

ほんとにごめ…な…さ……」


「ひな……いいのよ

お母さんこそ、あなたの気持ち全然わからなくて嫌な思いたくさんさせて……

謝らなきゃいけないのは私の方なんだから……

このくらいしかしてあげられないけど、お母さんに花嫁姿見せてくれる?」


私はもう頷くことしか出来なかった。


そんな私に母は気遣うように声をかけてくれる。


「もう泣かないで?

そんなに泣いたら赤ちゃんによくないわよ?

お母さんが泣いてばっかりだと泣き虫な赤ちゃんになるんだって」


そう言って、母はフフッと笑った。


翔吾も一緒に優しく微笑むと、私が泣き止むまでずっと背中を擦ってくれる。


私はようやく全て許せた気がした。


お腹の中で育つ命が、こんなにも愛しく感じられることも、母もまた私がお腹の中にいるときに感じていたものなのかもしれない。


そして母が私を産んでくれたから、今こうやって翔吾と赤ちゃんに出会えたんだとしたら……


私は母に感謝しなければならないと思う。


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