夢の欠片
派手なメイクに肌を露出した服。
髪の毛もピンクに染めて、夜の街をさ迷う。
ここには私に優しく声をかけてくれる人がたくさんいた。
同じような境遇の子達に囲まれて、今日も朝までオールするつもりだ。
「ひな、久しぶりじゃん!」
その声に弾かれるように振り向いた。
「翔吾!会いたかったよ~」
そう言って抱きついてもいつもちゃんと受け止めてくれる。
声の主は3つ年上の仲間の一人。
いつもこんな私を心配してくれる。
「お前、また夜遊びしてんのか?
学校は?行ってんの?」
自分のことは棚に上げて、翔吾は本当のお兄ちゃんみたいに私を叱る。
私は翔吾に叱られるのが、ちょっぴり嬉しかった。
「行くわけないじゃん!
ダルいしぃ」
わざとそう言って翔吾の気を引こうとする。
「まったくしょうがねぇなぁ
今日はいいけど明日からちゃんと行くんだぞ?」
毎回、会う度に同じセリフの繰り返し。
「はぁい!」
ふざけながら手を上げてそう言うと、翔吾は「よし!」と言って私の頭を乱暴にワシワシ撫でた。