夢の欠片
補導されて母に連れ帰られた日から、私は夜また外に出してもらえなくなった。
母もあれから夜の外出を全くしなくなり、ますます私は出掛けづらい環境になっている。
私のためを思って家にいるようにしてくれているんだろうけど、はっきり言って迷惑だ。
それにあの男……
伊丹が、最近いつも入り浸るようになっている。
たぶん母が夜に外出しなくなったのは、そのせいもあると思っていた。
自分の居場所はますますなくなり、かといって翔吾達のところへも行けないでいる。
しかも四六時中、伊丹の視線にさらされて、ストレスは頂点に達していた。
今日もまた伊丹は母と居間で寛いでいる。
夜な夜な聞こえる二人の息遣いも、私にとっては苦痛以外のなにものでもなかった。
思春期の娘がいるっていうのに、どういう神経をしているんだろう?
伊丹だけじゃなく、それを受け入れている母の神経も疑う。
食事も一緒にとりたくなくて、私の分は部屋に持ってきてもらうようにしていた。