夢の欠片
でももしそれを止めるつもりなら、私はまた信頼出来そうだった大人を一人、失うことになる。


先程までとは違う、挑むような目で校長を見ると、どんな言葉をかけられたって計画は曲げないんだと心の中で誓った。


「そんなに怖い顔をしなくても大丈夫だよ

君がこれから何をするのかはわからないけれど、止めようなんてこれっぽっちも思ってないから」


そう言われて私は拍子抜けしたように、肩の力が抜けた。


じゃあいったい……何が目的なんだろう?


ますます校長の意図が掴めなくて、私は混乱しながら彼の顔を見上げた。


「二つだけ約束してほしいんだ」


そう校長は言った。


何を約束させられるんだろうと少しだけ不安になる。


でも私のやることを止めるつもりがないなら……


それ以外の約束はしてもいいかもしれないと思った。


この人の頭の隅っこの方にでも、私との約束が少しでも残るのなら、それもいいかもしれない。


そう考えて、校長の申し出を受け入れる覚悟を決める。


何も言わずに校長の目を見つめていると、それが答えだとわかったのか、二つの約束を話し始めた。


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