夢の欠片
ようやくいつもの場所に辿り着く。


翔吾や舞さん達のいる溜まり場へと急いで足を運んだ。


……あれ?誰もいない。


おかしいな?と首を傾げながら、周辺を歩いていると、後ろから懐かしい声が私を呼んだ。


「おい! ひな!」


翔吾だ!


嬉しくて急いで振り返ると、そこには私が思っていたのとは違う、険しい表情で立っている翔吾がいた。


「翔吾! 久しぶり!

会いたかった!」


そんな翔吾にはおかまいなしに、いつものように抱きつこうと翔吾に駆け寄ったのに……


翔吾はそれを遮るように、凍ってしまうくらい冷たい声で私に言った。


「お前……なんで来たんだよ」


――えっ!?


まさかそんな風に拒否されるなんて思ってもみなくて、私はその場に立ち止まったまま翔吾の顔を見つめる。


睨むように私を見る翔吾に怯えながら、それでもどうしてなのか知りたくて涙を堪えた。

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