夢の欠片
ようやく落ち着いてきた頃、どちらからともなくフッと体を離してお互いの顔を見る。


涙でぐちゃぐちゃになった顔を見合わせて、二人で静かに微笑んだ。


それから翔吾は小さく息を吐くと、私を自分の足の間に納めながら、ポツリポツリと話し始める。


「ひなが来なくなってから……

寂しかったけど、あいつは向こうの世界に帰ったんだなって……

ちょっぴり嬉しかったんだ」


優しく微笑みながら、右手で私の髪を撫でる翔吾の言葉に、少しだけ複雑な気持ちになる。


そんな私の心情を察したのか、翔吾はフッと笑って言った。


「前にも言ったけど、ひなにはちゃんと学校に行ってほしかったし、こっち側に来なくていいなら、その方がいいに決まってるから……」


追い討ちをかけるように来なくてよかったと言われて、私は悲しくなってそっと目を伏せた。


「勘違いするなよ?

お前が嫌だから来るなって言ってんじゃないんだ……

俺達はみんな自分の寂しさを埋めるために傷を舐めあってる。

だけど、それじゃいけないんだってことも……

どっかでわかってるんだ……」



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