夢の欠片
不思議そうに見つめていると、舞さんは優しく笑いながら、誰にも聞こえないように私に言った。


「ひな、翔吾のこと好きでしょ?

大丈夫だよ?

私、彼氏いるし……

取ったりしないから」


ふふふっと笑いながら、人差し指をぽってりとした唇に当てて「内緒ね?」と私の顔を覗き込む。


そう言われて、急に顔が熱くなる。


恥ずかしくなって思わず下を向いてしまった。


翔吾のことを好きなんでしょ?と言われたからなのか……


舞さんの色っぽい唇で囁かれたからなのか……


恥ずかしくなった理由はよくわからない。


私はまだ恋をしたことがなかった。


だから翔吾のことも好きだけど、それはお兄ちゃんみたいな身内に感じるような好きだと思ってた。

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